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【喧嘩商売】 5/5 ○佐藤十兵衛/○入江文学/○工藤優作/○金田保/○田島彬 【魔法少女まどか☆マギカ】 5/5 ○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○佐倉杏子/○巴マミ 【嘘喰い】 4/4 ○斑目貘/○梶隆臣/○伽羅/○ビリー・クレイヴ 【岳 みんなの山】 4/4 ○島崎三歩/○椎名久美/○阿久津敏夫/○横井ナオタ 【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】 4/4 ○苗木誠/○霧切響子/○江ノ島盾子 /○舞園さやか 【バガボンド】 4/4 ○宮本武蔵/○佐々木小次郎/○本位田又八/○伊藤一刀斎 【ひだまりスケッチ】 4/4 ○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ 【魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st】 3/3 ○高町なのは/○フェイト・テスタロッサ/○プレシア・テスタロッサ 【ベルセルク】 3/3 ○ガッツ/○キャスカ/○ゾッド 【マクロスFrontier】 3/3 ○早乙女アルト/○ランカ・リー/○シェリル・ノーム 【第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇】 2/2 ○クロウ・ブルースト/○アイム・ライアード 【天元突破グレンラガン】 2/2 ○シモン/○カミナ 【寄生獣】 2/2 ○泉新一/○後藤 【装甲騎兵ボトムズ】 2/2 ○キリコ・キュービィー/○フィアナ 【アカギ ~闇に降り立った天才~】 2/2 ○赤木しげる/○鷲巣巌 【機動戦士ガンダム00】 2/2 ○刹那・F・セイエイ/○マリナ・イスマイール 【賭博覇王伝 零】 2/2 ○宇海零/○末崎さくら 【よつばと!】 2/2 ○小岩井よつば/○小岩井(とーちゃん) 【とある魔術の禁書目録】1/1 ○上条当麻 【トライガン・マキシマム】 1/1 ○ヴァッシュ・ザ・スタンピード 【57/57】
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前ページ次ページゼロと魔砲使い 「歴史を進めたいって……そもそも歴史って、人の行動の積み重ねで、わざわざ進めないといけないものなんですか?」 その場にいた者の意見を代表するかのように、なのははジョゼフに聞いた。それに対してジョゼフは、我が意を得たりとでも言うように、喜色満面でその問いを歓迎しているようであった。 「くくく……そなたはそう思うのであろうな。そなたにとっては、それが当然であるが故に。 だがな、この世界では違うのだ。時間は積み重なっても、決して歴史は積み重ならない。 一度始祖に壊されたとはいえ、この世界は元々『変化しない箱庭』として作られているのだ。外来者による干渉無くば、永遠に昨日と同じ今日、今日と同じ明日が続く世界として、な」 「ちょっと待ってください!」 さらに続きを語ろうとしたジョゼフを、ヴィットーリオが慌てて止める。 「今、始祖によって壊された、といいましたが、それはいったいどういうことですか!」 「ふむ、まあ始祖を祀る教皇としては、確かにそこが気にもなるか」 ジョゼフは一つ頷くと、ヴィットーリオと、傍らのビダーシャルの顔を交互に見た。 「まあ、俺もここに関しては正確なことは判らなかった。だが、結果として何があったかだけは判っている。 永遠に続く世界、それを管理するエルフ。始祖は、それに反逆した。 おっと、誤解を招かないうちに言っておくが、それは教会の唱えるような崇高な人類愛に満ちた行為では無い。むしろそれとは真逆の、私欲と私怨に満ちた物だ。要は復讐に近い行為と言ってもいい。 だが結果としてそれが永遠の一日を維持するためのシステムに風穴を開けた。管理者であるエルフ達にももはや元には戻せぬほどのな。無理にでも元に戻そうとしたら、この世界そのものを最初から作り直すしかない。そしてそれはこやつらの権限を越える行為でもあった」 「貴様、なぜそれを知っている!」 どうやらこれもまた禁忌であったらしい話に、ビダーシャルが噛みつく。それに対しジョゼフは平然と言ってのけた。 「なに、そちらのエルフの里にいるこちらに興味のあるエルフの一人と、うちの使い魔が仲良くなってな。古いだけで価値のない里の骨董をいくつか手に入れただけだ。後は……まあそう言うことだ」 言外にその手の物から情報を引き出せる魔法のことを匂わせつつ、ジョゼフはくくくと笑う。ビダーシャルも憮然とした顔はそのままだが、追求の鉾を収めていた。 どうやらどこから漏れたのかが気になっていたようだ。彼が独自に入手した情報であると知って納得したらしい。 「始祖がなにを思ってエルフに反逆し、結果として歴史を動かしたかについては残念ながら判ってはいない。 教会の資料を調べれば判るのかもしれないが、さすがにそれは教皇に対する禁呪どころか自分たちすべてを破滅させる物だと判っていたようで、先の文書の中にも一切情報は無かった。 だが、その目的だけは判明している。始祖ブリミルは、聖地の奥にいる、とある人物に会いに行こうとしていたのだ。生きているかどうかはかなり怪しく、死んでいる可能性も高かった。だがもし死んでいても、その遺体を取り戻そうとしたのは確かだ。 残念ながら始祖の生前にはそれは叶わなかった。管理者たるエルフにとってもそれは最大級の禁忌であり、その阻止のためにはあらゆる制約を解き放った全力を振るうことが許されていた。 我々が過去に起こした戦争がお笑いになるほどの激しい戦いが起き、始祖の希望はその抵抗によって潰えたのだ。これは私が始祖の香炉から直接見いだした情報だ。まず間違いはあるまい」 と、そこでヴィットーリオが手を上げ、意見があることを表明した。ジョゼフもそれを見て、一旦言葉を止める。 それを確認すると、ヴィットーリオはとある提案をジョゼフに示した。 「その理由は私も知りませんでした。ですが、教皇に伝えられる『聖戦』の最終目的は、聖地にある『何よりも大事な宝』の奪還です。そして、その『宝』の真の名前は、代々の教皇にだけ伝えられています。 ジョゼフ王、今から私はその名をあえてこの場で明かそうと思います。よろしければ、王もあなたが掴んだという、『とある人物』の名を言っていただけませんか? 私の考えが正しければ、そしてあなたの調査が正しければ、その名前は一致するはずです」 「確かに。俺もおそらくは一致すると思う。よかろう。もし一致しなかったら、この場から手を引いてもかまわん。だが、そちらが正直にそれを明かす限り、そんなことはなかろうな」 そして二人は軽く握った拳を手首で振ることによってタイミングを合わせる。世紀の一瞬を確実に伝えるために、拡声の魔法を維持していた術者達が、改めて術を更新する。 そして広い戦場に、その言葉は響き渡った。 プレシア・テスタロッサ 二人の言葉には、寸毫のずれもなかった。 「やはり、彼の大賢者でしたか」 「教会でも知られていたようだな」 「ええ、『最も恐るべき異端』として伝えられる人物ですからね」 ヴィットーリオとジョゼフがそう語る脇では、ルイズがパニックになっていた。 「な、なのは、ぷ、プレシア・テスタロッサって、あ、あの人のことよね」 「はい……だとすると学院のあの写真、案外本物かもしれませんね」 なのはの頭の中では、一つの恐ろしい推測がなされていた。 異端云々はともかく、プレシアは始祖にとって最も大切な人物らしい。 かつて始祖の肖像として伝えられていた写真は、親友のフェイト・テスタロットにそっくりであった。 プレシアは娘のアリシアを復活させるのに成功しているらしい。 フェイトはアリシアのクローンである。 以上の情報が総合されると、一つの恐ろしい結論が出てしまう。 ――始祖ブリミルとは、蘇ったアリシアが成長した姿なのではないのだろうか。 もちろん、それを確定できる情報は無い。 始祖に伝わる伝承からすると、おかしな点もたくさんある。 アリシア・テスタロッサには魔法の資質がなかったらしいと言うこと。 始祖はハルケギニアに魔法をもたらした存在とされているが、その知識をどこから得たのかと言うこと。 ちょっと考えただけでもこの辺が問題になる。 プレシアは天才的な魔法技術者であり、彼女の研究を受け継いだという可能性もあるだろう。アリシア自身が天才であった可能性もある。 正解は、未だ不明。だが、可能性はある。 なのはは改めてジョゼフの言動に注目した。 「そういえばタカマチナノハ、そなたはプレシアのことを知っていたのだったな」 「はい。親友の母であり、私たちの暦で約十年ほど前に、本来決して助からない虚空の彼方へと姿を消しました」 なぜジョゼフがそれを知っているのかは考えないことにして、なのはははっきりと答える。 ジョゼフはそれを聞いて、改めて声を大にしてプレシアのことを語り始めた。 「プレシア・テスタロッサ。世人の知らぬその人物は、始祖の時代が始まる少し前、市井を旅しながら様々な知識を説いた賢人だ。 およそ世間の人からすれば不可思議な、あるいは当たり前のことを、わかりやすい言葉でそこに明確な『理』があることを教えたのだ。 貴重な、始祖の時代以前の文献に、『プレシア』の名を記した書がたくさんある。 大半は市民の覚え書きのような物で、プレシアの語った知識を忘れないように書き留めた物だった。 これはやや推測も入るのだが、先の通り、始祖の時代以前の平民は文字通りの『人形』で、常にない行動をとることも覚えていることもない。 だが、数少ない例外が『外部の人間との接触』だった。 大いなる者が作ったこの箱庭世界に訪れた外部の人間。記録によれば『冒険者』と呼称される人物と接触したときに限り、変化無き日常の枷は外れ、日々に変化が訪れる。 そしてこれは俺にも理由は分からないが、冒険者と接触した平民は、本人の能力の許す限りに於いて、その行動の記録を残そうとするらしい。 文字を書ける者は日記のようなものとして、 町の統治者は公文書として、 市井の農民はおとぎ話の原案として、 幾多の活躍が後世に伝えられているのだ。 この習性は我々にもわずかながら残っているらしくてな。かの有名な『イーヴァルディーの勇者』の物語が、無数の亜流を含めて伝わっているのもその証左のようだ」 「私たちの間では、危険な禁書なんですけどね。彼の書の叡智は確かにすばらしいが、同時にあなたのような反社会的な人間を生みかねないが故に」 そう言いつつヴィットーリオがジョゼフを睨むと、ジョゼフはまた機嫌良さそうに笑い出した。 「そう言うな。確かにあの書の叡智は『魔法』の存在を軽くしかねん。だが、あの書の叡智を『危険』と見なすその行為こそが、俺が俺を含めたこの地の人間を『人形』という根拠なんだぞ」 「なっ……それは」 虚を突かれ、ヴィットーリオが思わずうろたえた。 そこにたたみ込むジョゼフ。 「始祖が結果としてもたらしたことは、大きく分けて二つある。 一つは、表というか広く伝わる物、『魔法』を我々にもたらしたことだ。 そしてそれによる裏面として、我々は繰り返しの日々を抜け出し、新たな歴史を刻み始めたのだ。 人形であった我々の祖先に掛けられている『枷』に対して、魔法の存在はそれを緩める方向に働く。それ故、後に貴族と言われる者達は、自らの意思で行動することが可能になった。 人のためになり、人の上に君臨し、時には戦い、時には犯罪を犯す。 祖先は、人としての生き方を取り戻したのだ。 だが……その枷はまだ完全に外れたわけではない。 その証拠が、今までの歴史、そう、『六千年の停滞』だ」 そこまで言ったジョゼフは、じっとなのはの方を見つめた。 目が合ってしまい、なのはは目をそらすわけにも行かずに困惑する。 「聞こう、タカマチナノハよ」 「は、はい、なんでしょうか」 声がうわずって真っ赤になるなのは。 それを遠目に見て取ったジョゼフは、少し間を開けてから改めてなのはに聞いた。 「そなた達の生きてきた世界に於いて、六千年前と現在とでは、どれほどの差がある?」 「別物ですね」 なのはは即答した。 「さすがに文明の基礎すらろくに無かった時代は長期間変化無かったはずですけど、ゴブリン同然だった人がある程度社会を作ってからはどんどん変わっていきましたよ。 私の生まれ故郷では魔法がなかったんですけど、千年くらいは大きく変わりませんでしたけど、二百年前くらいに大きな変化があってからはものすごい勢いで変わり続けて、今だと十年単位でくるくる変わりますね。 どんどん便利な道具ができたりして、いろんなことが大きく変わってます」 「そうであろうな。そなたの言うめまぐるしい変化の時代、それはこのハルケギニアにおいては始祖の時代からわずか百年で止まってしまったのだ」 「ええっ!」 さすがになのはも驚いた。 最もなのは以外の人には、それのなにが驚きなのかよく判っていないようだった。 その様子を確かめてジョゼフは言った。 「それが未だ残る枷、このハルケギニアの人形に残る、停滞の呪いだ。さて、ここでちょっとした問いをしよう」 ジョゼフは、そう言うと自分の足下を指さした。 「この世界に於いて、初めて誕生した『フネ』は、いつ頃作られたと思う?」 その問いに対して、大半の人間は『さて』としか思えなかった。少なくともこの場にいる人々にとって、フネは生まれたときからある物だったからだ。 そんな中、自信なさげに答えたのはウェールズだった。 「少なくともアルビオンが誕生したときには当然フネがありました」 「当たり前だな。まあ、表向きの記録に残っているのでは約三千年前くらいだ。だが最古の物はブリミル歴四十年には実験用の風石船が飛行したことが記録に残っている。そしてブリミル歴百年には、今の民間用の小型船がすでに実用化されている」 その場にいたアルビオン勢の、特になのはの目が点になってしまっていた。 「その後、大型化、軍事目的の改装、豪華客船化などの大がかりな改装は行われてきているが、それらのほとんどは理論ではなく、物資や資金面での制約が解決されたことによる進歩がほとんどで、要は『金と人手さえあればいつでも可能だった』という物に過ぎない。 ほとんど知られていないことだが、このブリミル歴六千年の間に、明確な新発明をした人間はほんの片手ほどしかいない。しかも判っている限りそのすべてが貴族もしくはメイジだ。 これも先ほどのことと重なるが、我々にはなぜかこの手の変わった出来事を記録にとどめようとする性癖が備わっているせいか、割とたくさんの記録が残されている。最もその大半は異端として教会に葬られ、記録もそこにしか残っていない場合がほとんどだがな」 そこでじろりとヴィットーリオに視線が向き、彼も思わず困った顔になってしまった。 「現代においても、既存の技術の改良は大々的に行われている。フネや砲などは新たに開発されている……と、思われているが、こと武器に関する進歩はまやかしだ。理由に関しては教皇聖下がよくご存じだろうが、その理由はまあここで明かす類いのことではない。 本題からも外れるので、ここは最低限の理由として『見本があった』とだけ言っておこう。今この世界で、そういう意味での真の発明能力持つ人間は、俺の目の届く限り、たった一人しかいない。 もう一度はっきり言おう。 この世界は、始祖の時代から比べて、さしたる変化が全くないのだ。 国としての栄枯盛衰はある。 地図から消えた村や町も多く、生まれ出でた都市もたくさんある。 だが、それは戦争という名の陣取り合戦の帰結に過ぎない。 生活水準や文化という面に於いて、我々の暮らしは六千年前とさして変わっていないのだ。 判るか……この異常性が。 そうそう、もう一つ加えておこう。 貴族と……いや、メイジと平民の間には、実は一つ明確な差がある。 過去の戦の歴史に於いて、平民が貴族に反抗したことは実は一度も無い。 貴族がどんな圧政を敷いても、平民が逆らったと言うことは史実に於いて一度も無いのだ。 歴史に残る反乱は、必ずその中核に、発起人に貴族か元貴族がいる。平民は『貴族に命じられて』初めて反乱を起こせるのだ。 そしてそれこそが、この六千年の間、無能が多い貴族が社会を維持できた最大の理由なのだ」 今度こそはっきりと理解できた。できてしまった。 ジョゼフの言うことの意味、それは、少なくとも魔法の使えない平民は、そうと見えなくとも、かつての、彼の語る『人形』の要素を色濃く残しているのだと。 もちろん、それが正しいと決まったわけではない。 だが少なくとも彼はそう理解している。それだけは間違いの無い事実であった。 「それって……単純に、貴族が、メイジが、魔法を使えない平民より絶対的に強いからじゃないんですか?」 なのはは、そんなこと認めたくないとばかりに、ジョゼフにそう質問してみる。 だが返ってきた答えは単純明快であった。 「ふんっ、貴族とて人間だぞ。眠りもすれば飯も食う。その気になれば毒殺だろうと寝込みを襲うことだろうと簡単にできる。実際そういう手段で暗殺された貴族など腐るほどいる。 だがな、恐ろしいことに、少なくとも千年前までは平民にその手で殺された貴族はいない。必ず背後に貴族の命令がある。 そして例外が見られ始めたのは近年になってからだ。その理由は俺には見当がついている」 「それは?」 「簡単なことだ。長い年月を経て、メイジの血が薄くはあっても広がりきってきたのだろうよ。今の世界に於いて貴族の数は平民の一割ほど。だが、その貴族はその権力にあかせて幾多の平民をもてあそび、表に出ることのない庶子を大量に世にばらまいた。 その数は時代を経て増えることはあっても減ることはない。 そしてさらにその庶子達がまた市井の一平民として子をなしていく。どんどんと薄くなるであろうが、確実にメイジの血を引いた人間は増えていく。 今となってはどのくらいの人間が可能か判らんが、平民の幼子すべてにメイジとしての基礎教育をしたら、いったいどのくらいの子がメイジとして目覚めることやら。 俺はおそらく半数を超すとみているぞ。目覚めぬ子もあくまでも血が薄いだけで、メイジとしての素養を全く持たぬ平民の方が、むしろ少数派ではないかと思っている。 その根拠は『人形』だ。 メイジの因子は間違いなく人形の枷を緩くする。全くメイジの因子を持たぬ生粋の平民は、ほぼ間違いなく昨日と同じ今日、今日と同じ明日を送ることに疑問を抱かず、また貴族のような因子を持つ者に逆らうという発想を持たない。 純血という意味においてだから、家族全員がそういう存在の家庭は、昨今ではほぼ見られなくなってきている。 二百年ほど前の記録には、まだそういう家庭が存在していたらしいことが読み取れるのだがな」 なのは達は、彼の執念に圧倒されてしまっていた。 そんな彼女たちに、さらに恐ろしい事実をジョゼフは告げる。 「もう一つ俺がこの事実を確認するために使った手も教えておこう。 メイジがこの枷を緩められる理由、それはメイジは魔法という手段を得ることによって、このシステムを逸脱するある存在であると誤認させることが可能になるからだ。 その存在こそが『冒険者』。かつての大賢者が呼ばれた称号であると同時に、それは世界にとっての『英雄候補』を意味する物になる。 先に述べた『発明家』も、これに近い存在だ。 俺はただのメイジと彼ら英雄との差をできうる限り調べ、ある結論を得た。 そしてその理論を検証するために、政争のために散った弟の娘を利用した」 弟の娘、の言葉が出た瞬間、それまでジョゼフの言葉に圧倒されていたルイズが叫んだ。 「それ、それって、タバサのこと!」 「そうだ。我が姪、シャルロットだ。 父の死に困惑する彼女を見て、俺は気がついた。どうでもいいと思っていた彼の娘をとことん追い詰めたなら、ひょっとしたら化けるやもしれんと。 俺は考えられる限りの悲惨な運命というやつを演出してみた。死ぬことが安らぎに思えるような苦境に追い込まれた彼女は、それでも生き延びた。その目には強き意志の炎が宿り、その心は運命に従うことを拒否した。 資格を得たかもしれない、そう思って俺は彼女を裏の騎士団の人員とした。 そうしたら案の定だ。まるであつらえたように、何事もなかった我が領内に、いくつもの不穏な事件が起こり始めた。 まるで彼女にそれを解決してほしいかのように。 そしてその果てに、彼女はメイジの限界を超えた。物語の主役であるかのように、ただのスクウェアを超えた領域に彼女は突入した。 馬鹿馬鹿しいと思うかもしれない。だが、これは過去何度もあったことなのだ。 我が姪のようなものはさすがに珍しいがな。たいていは不完全に目覚めた虚無とその使い魔たるガンダールヴがその座を占めることが多かった。 そう……六千年間さして代わり映えのしない文学の世界の中、数多の物語が付け加えられ続けた希有な例」 「イーヴァルディーの勇者……」 ルイズの口から漏れた言葉を、ジョゼフは耳聡く拾う。 「そう。虚無とその使い魔は特に世界を逸脱して『冒険者』の資格を得やすい。元々虚無そのものが本来のことわりから外れた、始祖のもたらした力の原点であるが故にな。 この世の長き歴史を紐解いてみれば、数少ない大きな社会の変化には、必ずこのような人物が絡んでいる」 圧倒的な事実調査に、なのは達は納得するしかなかった。反論しようとするためには、それを覆す証拠を実測してそろえねばならない。 それが成し遂げられればこの王は素直に納得するのであろうが、今それをなすのは不可能であった。それ故、この王を説得することはできない。 そして狂王は、そんななのは達の様子を見て、その野望の、最後の意を宣言した。 「俺はこの停滞を、進歩を忘れた時代を、学習する意思を奪われたことを憎む。 俺はこの事実に気がついたとき、これを打破することを夢見、この箱庭に安住する人形をぶん殴って目覚めさせるすべを考えた。 そして気がついた。 この俺たちを縛る無意識の枷は、時代とともに間違いなく緩んでいる。始祖が最初の軛を解き放ったことで、枷は絶対の物ではなくなっている。だが、同時にそれは俺たちを間違いなく縛っている。 外部から刺激を与えられない限り、『冒険者』のように成らない限り、俺たちは真に自由な意思を持てない。 たとえ真の自由があっても、只人の大半は日々を同じに生きるかもしれない。 だが、それを理由に枷を無視することは許されない。 百人のうちただ一人でも解き放たれたいと望むのならば、それを縛る物を許すことはできない。 俺は始祖の時代を調べ、数少ない歴史の揺らぎを調べ、現代に現れた発明家の過去を調べた。 始祖は残念ながら例外要素が大きすぎた。魔法をもたらしたこと自体が変革の証だった。 だが、それ以外の、時代を動かし、枷を解き放ち、自由な発想を形にすることを可能にした人物には、一つの共通した要素があった。 一つは貴族もしくは元貴族、すなわち発現した魔法の力を持つこと。 最もこれはあくまでも元から枷が緩いと言うだけのことであろう。イーヴァルディーの勇者のような例もあるからな。 より重要な点。それは……彼らは例外なく悲惨な過去を背負っていたということだ。 そこに共通するのは、理不尽な暴虐。人として生きることに疑問を感じるほどの、心を深く傷つける虐待や虐殺だった。 俺がシャルロットを虐待したのも、それを狙ってのことだ。 ちなみに虐待は加えられる側であったとは限らない。加える側であった例も多い。 現に今俺が知る発明家も、かつてとある暴虐の実行犯として軍の命に服した人間だ。 彼の者がその命の後、心を病んで退役し、地位も名も捨てて生きていく中で、過去の枷を打ち砕いた発想を持つに至ったことも判っている。 ……そして、その斬新な発想が、ほぼ理解されていないことも。 おそらくそのものの発想の価値が判るのは、同じようにある意味壊れてしまった余と、外を知るものであるタカマチナノハ、お前くらいであろう」 「わ、わたし?」 重い話の中で突然話題を振られて戸惑うなのは。 「この戦いの後、お前が生きていられたときには、その者の名をお前に伝える手配はできている。その目で俺の言ったことを確かめるがいい。 さて、そろそろ理解できたのではないかな?」 そういったジョゼフの顔は、それまで保たれてきた理性がはがれ落ちたかのようであった。 そして狂王は宣告する。 ――余はこれから、余の話を聞き、覚えたそなた達を虐殺する。 ――全員を殺しはしない。半数には生き延び、そして余の暴虐を語ってもらわねばならないからだ。 ――そして直接攻撃を受け、なお生き延びた者は、おそらくその心の枷が外れているはずだ。 ――この絶対の死地を生き延びるという劇的な出来事。それがその者に『冒険者』としての道を開く。 ――たとえ平民であっても、余を殺そうと思うことにもはや何の干渉も受けまい。それが一つの『物語』となるが故に。 ――望むなら遠慮無く殺しに来るがいい。だが当然余は強い。 ――虚無の魔法、多数の兵士、臣民の尊敬、そのすべてが敵となる。 ――工夫せよ。武器を工夫するもよし、技を工夫するもよし。 ――あるいは政治を、社会を、文化を工夫して余を守る鎧をはぎ取るもよし。 ――その過程でこの世界は間違いなく変貌を始める。六千年にわたって淀み、腐り果てた水はあふれだし、新たな流れが誕生する。 ――そう、世界すべてを巻き込むほどの、新たな『物語』が始まるのだ。 ――但し。 そこで狂王は、地獄の宣告を打ち切った。そして再びその視線を、眼下のなのは一人に合わせる。 それを受けたなのはも、その身を緊張させて狂王の圧力に耐える。 「一つだけ選択の機会を与える。先の約束の通り、余の軍勢は最初の一撃を受けるまでは手を出さない。それがたとえ虚無の一撃であろうとも、だ」 その言葉に、その場にいたアルビオンの兵士達の脳裏に、かつての奇跡の光景が蘇る。 「そう、アルビオンの兵士達よ。死にたくないのならば、虚無の担い手とその使い魔が我を滅ぼすことを願え。そして彼らがそれに応えたのならば、我と我が兵達は安らかに始祖の元に行こう。 反乱が起こることはない。 我が非道の一端として、余のミューズの手により今ここにいる兵士達すべてに一つの暗示が掛けられている。その暗示ゆえ、我が兵士達もまた、最初の一撃を認識しない限り余に刃向かうことすらできぬ。 なに、そのときはこの場にいるすべての命を背負い、余を始めとする兵士達すべての命を虐殺することになった虚無の担い手達が、そしてそれを望んだ一抹の兵士達が、虚無の攻撃を受けて尚生き延びた我が兵士が、等しく心に傷を負うことになる。 その心の傷と命の重みは、間違いなく我々を縛る枷を打ち砕く。 その使命の重さが、お前達を『冒険者的存在』に導く。 余からすれば、どちらでもいいのだ。 余の――俺の望みは、この箱庭を維持するための目に見えない仕掛けを、根本からぶち壊すこと、ただそれだけなのだからな」 それだけを言い切ると、まさに今狂ったかのような高笑いをする狂王。 ひとしきり笑った後、再び真面目な顔に戻って、彼は告げた。 「選べ、虚無の担い手とその使い魔よ。汝はどちらを滅ぼす也や?」 それは、すべてを見ていた。 このハルケギニアの地に起こったことで、それが知ろうと思って知ることのできない事は存在していない。 厳密には皆無ではないが、それは人の営みとは関わらない部分。 事誰かが何かをなすと言うことに関して、そしてそれを知ることに関しては、それは全能と言っても過言では無かった。 そしてそれは、空間に映し出された非情な二者択一を迫られた乙女と、それを突きつけた男を眺めていた。 あなたはどちらを選ぶのかしら。突き進むのか、引くのか……考えるまでもないわね。 私の知るあなたなら、水の精霊が読み取ったあなたなら、答えなぞ決まっている。そして本来その責を負うべき人にそれを担わせるはずもない。 そういう所、あなたはお人好しすぎるもの。 でも、そうすると、少しおもしろいことになるかしら。 あなたの選びそうな道に進むと、誰にとっても予想外のフラグが立ちそうですものね。 デウス・エクス・マキナ。 それはあきらめていた奇跡への道につながるかもしれない。 文字通り、神が降りてくることになるかもしれない。 もしそうなってくれたら、なにもかもが終わる。変わる。 推測でしかないけれど、あなたの知る友があなたの識る通りなら、彼女は来ている。奇跡を開く鍵とともに。 あなたを救いに来る彼女が、鍵の娘をおいてくるわけがない。 喜びなさい、狂える王よ。 あなたの努力は、斜め上に突き抜けた奇跡を起こしそうよ。 事実は小説より奇なり、精緻な策略は時に愚者の無策に破れる。 どんな精緻な計算も、前提となる情報が間違っていたら決して正しい答えは出ない。 そう。真実は時に荒唐無稽。あまりにも馬鹿馬鹿しい現実。 貴方達は、このあまりにもお馬鹿な事実に耐えられるかしら。 それは視線を眼前の映像から外し、背後へとそれを移す。 その動きにつられ、長い金色の髪がふわりと広がる。 その視線の先には、横たえられたカプセルがある。 ちょうど人一人が寝られる大きさのカプセルには薄く光る液体が満たされ、その中にはやや年かさの女性と思われる人物が浮かぶように横たわっていた。 それが横たわる女性を見る目には、果てしない慈愛と憧憬が浮かんでいた。 前ページ次ページゼロと魔砲使い
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……起きないから奇跡って言うんですよ ◆HlLdWe.oBM 「魔力が足りないなら私の命をやる……命でも足りないんやったらこの世界をやる……」 月と星の光が薄らいできた空の下、木々と土塊だけが存在する荒野で声がする。 「だから……だから……もう1度だけ……もう1度だけ家族を取り戻すチャンスをくれや……」 必死に嘆願する少女の声がする。 「闇の書は主に絶大な力を与えてくれるんやろ?」 むしろ呼びかけに近いか。 「ジュエルシードは願いを叶える石なんやろ?」 どちらにせよ少女は心から願う。 「だったらその力で私の願いを叶えてや……」 ずっと叶えたいと思い続けてきた望みに祈りを込めて。 「その為やったら私の命も、この世界もなんもいらん……」 その望みを叶えるための力を欲するが故に。 「ヴィータを……シグナムを……シャマルを……ザフィーラを……そしてリインを取り戻したいんや……!」 傷だらけの少女は――八神はやては――12年前のような奇跡が起きる事を願った。 「応えてや……頼む……!」 そして――。 「な……」 最後の希望は――。 「なんでや………」 祈りの果ての奇跡は――。 「なんで、私の願いに応えてくれへんのや…………!!!!」 少女に何も齎さなかった。 それもそのはずだろう。 ジュエルシードが「願いが叶う宝石」と言われたところで、その本質は次元干渉型エネルギー結晶体に過ぎない。 その内包するエネルギーは現在空っぽだ。 これでは奇跡も何も起きるはずがない。 ちなみにはやて自身に魔力が残っていれば結果は違ったかもしれないが、今の枯渇した状態では無理な話だ。 「そんな、ここで終わりなんか……私にはまだやらなあかん事がッ――!?」 だが嘆く暇もなくはやての下に死神の鎌の如く放たれた紫の光線が飛来した。 前触れなしで飛来したその光線は容赦なくはやての目の前にあった夜天の書とジュエルシードに着弾して跡形もなく破壊した。 それをはやては爆発の余波で後ろに吹き飛ばされながら信じられない面持ちで見ていた。 そして地面を転がって止まった先で今まで自分がいた方に顔を向けたはやての目にそれは飛び込んできた。 自分の命を奪うであろう日の出を背負った白銀と黒の復讐者が掲げる銃口を。 「……柊、かがみ」 「見つけたわよ、八神はやて」 【2日目 早朝】 【現在地 C-8】 【八神はやて(StS)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 【状態】全身にダメージ(中)、疲労(極大)、魔力消費(極大)、右手欠損(出血中)、貧血 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:プレシアの持っている技術を手に入れる。 1.あ、あぁ、そんな……。 2.自分を含めた全てを捨ててでも家族を取り戻す。 【備考】 ※この会場内の守護騎士に心の底から優しくするのは自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています。 ※キングはプレシアから殺し合いを促進させる役割を与えられていると考えています(同時に携帯にも何かあると思っています)。 ※出血が激しい為、すぐにでも手当てをしなければ命に関わります。 【柊かがみ@なの☆すた】 【状態】疲労(大)、全身ダメージ(大)、つかさとこなたの死への悲しみ、はやてへの強い怒り、デルタに変身中 【装備】とがめの着物(上着のみ)@小話メドレー、デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】なし 【思考】 基本:はやてを殺す。 1.はやてを殺す。 2.1が叶えば、みんなに身を委ねる。 【備考】 ※一部の参加者やそれに関する知識が消されています(たびかさなる心身に対するショックで思い出す可能性があります)。 ※デルタギアを装着した事により電気を放つ能力を得ました。 ※第4回放送を聞き逃しました。その為、放送の異変に気付いていません。 ※デルタのシステムと完全に同調しました。 【全体備考】 ※夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、は跡形もなく破壊されました。 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 時系列順で読む Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 投下順で読む Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 八神はやて(StS) Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 戻らないD/柊かがみ 柊かがみ Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使
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アクレシア ギルド名 R PB 募 旗 HP 評価 Phallus先生 - - - - - Cherubim、Griffith、秋葉無双 Arcadia - - - - - RedMagic Next - - - - - アクレシアッー - - - - - 微笑み迷子 うんちレンジャー&攻殻機動隊親子 EMPTY - - - - - 歩きながら波動拳+風林火山 紅蓮の不死鳥 - - - - - CodeZeroから再編。LastRose リオフォルテ - - - - - 芦屋組が再編 DarkAnge - - - - - Queenと愉快な仲間たち HolyWar - - - - - エラン高原、えりくす とろける溶鉱炉 - - - - - 自由な溶鉱炉から再編、milktub 自由な溶鉱炉 - - - - - 再編しとろける溶鉱炉 ブラックサイン - - - - - 聖剣 - - - - - きのこ中毒、ネクロノミコン、パン粉、その他ベラ逃げ腰面子 歪 - - - - - Drip やらないか - - - - - 激萌メイドロボ、GRAVION 電動こけしVIP - - - - - 再編でやらないか 彷徨う者 - - - - - 奥様ぱっくんちょ - - - - - Gアクのwikiこと奥様 皇帝 - - - - - ハンニバル、ESver1号、ドリルマン 時空管理局 - - - - - ケン 紅刃騎兵団 - - - - - 黒槍騎兵団のG鯖分隊 鬼銃 下着ドロ ムラサメ ギター和尚 コロイド grip エゴイスト そこはらめぇ 強化外骨格 重装歩兵 お好み焼き 不完全整備 - - - - - 再編し、白銀の庵 OwnAge - - - - - メタルスカッド - - - - - 芦屋瑞希 芦屋組 - - - - - 芦屋が結成したギルド、のちに再編しリオフォルテ GearsArm - - - - - サムライ - - - - - シンプルアク - - - - - 「多種族ギルド」ベラコラにそれぞれシンプルベラ、シンプルコラが存在。短期間で消滅 歩きながら波動拳 - - - - - 超機界村+血の結束が合併、のちに風林火山と合併しEMPTY 気に入らない人の捏造さらしするゴミギルド 超機界村 - - - - - 再編し歩きながら波動拳 血の結束 - - - - - 再編し歩きながら波動拳 CodeZERO - - - - - 再編し紅蓮の不死鳥 食用他 - - - - - 食用伊籍のソロギルド がちむち超兄機 - - - - - 鉄和会 - - - - - 天下無双 - - - - - ES関連 白銀の庵 - - - - - 不完全整備から再編、フィルブラスト 風林火山 - - - - - 歩きながら波動拳と合併しEMPTY 伝説の初心者がつくったギルド 迷子の黒猫 - - - - - OwnAge+まろやか喫茶+肉じゃがの再編、のちにメタボリックと合併し、リックな黒猫 まろやか喫茶 - - - - - 合併し迷子の黒猫 肉じゃが - - - - - 合併し迷子の黒猫 通称:でぶねこ リックな黒猫 - - - - - メタボリックと迷子の黒猫が合併 メタボリック - - - - - 迷子の黒猫と合併し、リックな黒猫 Elysion - - - - - リーベ、ESなどが名前変更して結成 カナード - - - - - ジェネシス - - - - - ベラのGENESISとは別物 偽善 - - - - - Gemilude Glorious - - - - - FreeDom - - - - - パンみみ - - - - - 蒼天の風 - - - - -
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必要ファクターとコストを支払い、手札にあるアイテムカードを使用します。 アイテムカードの使用時に、アイテムカードをセットするキャラクターを指定します。 アイテムカードをセットされたキャラクターは、アイテムカードに書かれた能力を得ます。 同じカード名のアイテムカードは、自分の場に1枚しか出す事ができません。 1体のキャラクターカードに対し、アイテムカードは1枚までセットすることが可能です。 自分のターンのメインフェイズに、他のカードが使用されていない時のみ使用宣言できます。 第3弾現在、赤5種、黄7種、黒3種、青6種、緑1種、無色2種、全色で24種類存在する。 アイテムカードもネームを持つ。場に同じネームを持つカードがある場合、場に出せないので注意。 例《不屈の妖精“レイジングハート”=イマジナリー》が場にいる場合、《砕けぬ星詠“レイジングハート”・エクセリオン》は出せません。 関連リンク アイテムを破壊するカード一覧キャラクターカードNo.173 《蒼天を纏う騎士”シグナム”&”リインフォースⅡ”》 No.174 《邂逅を果たせた二人の烈火”シグナム”&”アギト”》 ストラテジーカードNo.114 《スピーアアングリフ》 トリックカードNo.016 《紫電一閃》 アイテムをサーチできるカードNo.027 《母性の教師“リニス”》 アイテムを2枚セットできるカードNo.099 《鋼の走者“スバル・ナカジマ”》 No.140 《陸士108部隊陸曹“ギンガ・ナカジマ”》 同じネームを持つアイテムをセットできるカードレイジングハートNo.091 《悪戯心“レイジングハート”オットリッチモード》
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ニードフォグ 初出は2014/8/5の両手剣、3段階まで進化可能。 エクレシアキービジュアルイラスト、ヒューマン(女)の大剣。 性能概要 レアリティ 武器名 攻撃力 腕力 体力 知力 器用度 属性値 売却価格 標準 最大 柿最大 スーパーレア ニードフォグ 167 183 228 73 19 42 20 光+65 8000 レジェンド 177 194 242 76 22 45 23 光+75 8000 レジェンド+1 187 205 256 79 25 48 26 光+85 8000 レジェンド+2 197 216 270 82 28 51 29 光+95 8000 ※物理攻撃力+25%、光属性値+15%が特殊能力の固定性能となる。 生産レシピ ※晄石の刀身×3 イストリア勲章×1 マナの紋章×2 ※Net生産レベル55以上の登録カードで筐体生産可能 強化詳細 ニードフォグ(SR) 名前 合成値 1 2 3 4 5 攻撃力 強化値 12 24 36 48 60 合成値 6 7 8 9 10 攻撃力 208 228 強化値 72 84 96 108 120 合成値 ◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 攻撃力 233 256 合成値 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 攻撃力 250 274 ニードフォグ(LE) ニードフォグ(LE+1) ニードフォグ(LE+2) 名前 合成値 1 2 3 4 5 攻撃力 強化値 50 150 300 500 800 合成値 6 7 8 9 10 攻撃力 246 270 強化値 1200 1800 2300 3000 4000 合成値 ◆1 ◆2 ◆3 ◆4 ◆5 攻撃力 275 302 合成値 ◆6 ◆7 ◆8 ◆9 ◆10 攻撃力 295 324 攻撃力は合成値ごとに、基本値、最大値を掲載。 エクレシアゼニスではレジェンドの合成強化率が変更されたため、1~4程度の誤差があるかもしれません。 両手剣系統 ヴァイシュラヴァナ ← ニードフォグ → ダインスレイヴ
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海鳴市ジュニアクラス1 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 13-1 T Hショップ交流会1 5 11~21 560~670 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] キリエ・フローリアン[マイペース次女] 13-2 T Hショップ交流会2 月村すずか[海聖小学校生徒] 八神シャマル[研修中医大生] シュテル・スタークス[めがねなし中学生] フォーチュンドロップ A-C 13-3 T Hショップ交流会3 アリシア・テスタロッサ[海聖小学校生徒] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 13-4 T Hショップ交流会4 プレシア・テスタロッサ[T H店長] 八神シャマル[研修中医大生] ディアーチェ・K・クローディア[成績№1中学生] 13-5 T Hショップ交流会5 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 13-6 VS アリサ 報酬 レアチケットピース 1枚 マイDPキャンディ 1個 (2200スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 11~21 海鳴市ジュニアクラス2 入手カードレベル: エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 14-1 T Hショップ交流会6 5 11~21 560~670 月村すずか[読書好き小学生] 八神はやて[八神堂店主] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] フォーチュンドロップ A-C 14-2 T Hショップ交流会7 フェイト・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 14-3 T Hショップ交流会8 アリシア・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神はやて[八神堂店主] ディアーチェ・K・クローディア[成績№1中学生] 14-4 T Hショップ交流会9 クロノ・ハラオウン[優等生な中学生] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] シュテル・スタークス[めがねなし中学生] 14-5 T Hショップ交流会10 月村すずか[読書好き小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 14-6 VS すずか 報酬 レアチケットピース 1枚 マイMPクッキー 1個 (2300スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 11~21 海鳴市ジュニアクラス3 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 15-1 T Hショップ交流会11 5 12~21 560~670 高町なのは[お部屋着小学生] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] 15-2 T Hショップ交流会12 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] フォーチュンドロップ A-C 15-3 T Hショップ交流会13 フェイト・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神ヴィータ[学校帰り小学生] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 15-4 T Hショップ交流会14 プレシア・テスタロッサ[T H店長] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] グランツ・フローリアン[グランツ研究所の博士] 15-5 T Hショップ交流会15 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] 八神シグナム[草間一刀流師範代] シュテル・スタークス[インテリ中学生] 15-6 VS なのは 報酬 のろいうさぎ[ヴィータの相棒] Lv 20 (2400スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 12~21 海鳴市ジュニアクラス4 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 16-1 T Hショップ交流会16 5 13~21 640~770 フェイト・テスタロッサ[T H店長の娘さん(妹)] 八神はやて[八神堂店主] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] 16-2 T Hショップ交流会17 高町なのは[お部屋着小学生] 八神シャマル[ほんのり医大生] アミティエ・フローリアン[フローリアン家長女] 16-3 T Hショップ交流会18 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] シュテル・スタークス[インテリ中学生] グラーフアイゼン A-C 16-4 T Hショップ交流会19 月村すずか[読書好き小学生] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] アミティエ・フローリアン[フローリアン家長女] グラーフアイゼン D-F 16-5 T Hショップ交流会20 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 16-6 VS フェイト 報酬 ディアーチェ・K・クローディア[王の特訓] ×3枚 ユーリ&レヴィ[末っ子たちの応援] レアチケットピース 1枚 レベルマスタリーN 1個 (2500スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 13~21
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首括りの丘へ ◆q4eJ67HsvU …… ………… ……………… アーカムという街が成立した時期にこの地へ移り住んできた者の中には、セイラムからの逃亡者がいたことは既に述べた通りである。 それでは悪名高き近代アメリカ史の暗部、19人もの刑死者を出した忌まわしき事件、セイラム魔女裁判とはいかなるものだったのか。 時に1691年、マサチューセッツ州セイラム村――勤勉な清教徒(ピューリタン)が暮らす小村で事件は起こった。 冬のある日、一人の少女が恍惚状態になったかと思うと、突如金切り声を上げて倒れた。 それから瞬く間に村のあちこちへと少女たちの発作は広まり、ある者は痙攣し、ある者は聖書の言葉を聞くやのた打ち回った。 彼女らの奇矯な行動に村の医者は匙を投げ、こう言った。これらの症状は「悪魔憑き」の仕業だと。 少女たちが清教徒の教えで禁じられていた魔術儀式に参加していたことを知った村人は、彼女達を唆した者がいるに違いないと決め付けた。 やがて一人の黒人奴隷の女が鞭打たれて拷問され、魔術の知識があることを自白した。彼女はカリブのヴードゥーの血を引いていたのである。 村人たちは、少女の豹変に魔術が関わっていることを確信し始めていた。 良識ある者の「少女たちが気を引くためにやっているだけだ」という意見は魔女の肩を持つものだと切り捨てられた。 やがて少女たちが新たに名指しした女達が魔女として告発されたが、村人たちは被疑者を庇おうとはしなかった。 新たに魔女の疑いを掛けられた者たちは、敬虔とは言いがたく人付き合いも悪い、つまはじきにされても仕方ない女だったのである。 当然彼女たちは自らの疑いを否定したが、"悪魔憑き"の少女たちは"魔女"を見るやいなや痙攣を始めた。 ここに村人たちはひとつの結論を下す――少女たちの奇行は魔女の呪術だ。少女たちが奇妙な振る舞いを見せる相手こそ、魔女だと。 そして、悪夢が始まった。 黒人奴隷と二人の女に続く四人目の"魔女"は、誰からも慕われる敬虔な人格者の老婆だった。 誰もが彼女が魔女であるはずがないと思ったが、老婆を見た少女たちは奇声を上げのた打ち回った。老婆は縛り首になった。 その時になって初めて村人たちは、誰もが魔女狩りの標的になりうることに気付いて震え上がったが、もう遅かった。 悪魔憑きの少女たちの振舞いひとつで、何十人という村人が拘束され、裁判に掛けられた。 魔女の仕業であることを認めない者も加担者と判断されて捕まり、やがて吊るされた。 奇妙なことだが清教徒の間では罪の告白は正しい行いとされたため、魔女であると認めた者は減刑され、否定する者ばかりが処刑されていった。 妻の潔白を信じるがゆえに口を噤んだ者もいた。彼は拷問として胸を重石で押しつぶされ、アメリカで始めての合法的な圧死を遂げた。 しまいには裁判や処刑を強行した判事の親族やマサチューセッツ州知事の妻までもが名指しされ、推進派の者たちも次第に疑問を抱いていった。 しかし報せを受けた州知事が帰還して裁判の中止命令を出し、事態はあっけなく終息した。 それまでの間の逮捕者約200名、うち刑死者19名、圧死者1名、獄死者2名。 アメリカ史上最悪の魔女狩りは、結局原因すら定かでないうちに、ただ多くの命を犠牲にして幕を下ろした。 当時絞首台が据えられ、共同墓地への埋葬を拒否された刑死者たちが埋められた丘は「首括りの丘」などと呼ばれていたが、今や知るものは少ない。 ……………… ………… …… ▼ ▼ ▼ 「……気が滅入る話ね」 アーカムの歴史に関わる本には陰鬱なことばかりが書かれていて、流石にぶっ通しで読み続けるとうんざりしてくる。 読みかけの本を栞も挟まずに閉じ、目頭を押さえながらパチュリー・ノーレッジは立ち上がった。 日付はとっくに変わっている。 こんな時間にミスカトニック大学の附属図書館の閲覧室にいる者など、当然パチュリーしかいない。 「ようやくお勉強はおしまいかよ。ったく、いつになったら戦わせてくれるんだか」 「使い手に文句を垂れる刀なんて聞いたことがないわ。鞘に収まっている間ぐらい大人しくしていなさい」 いや、一人では無かったか。 とはいえ、彼を人として数えるのは二重の意味で間違っているようにも思う。 セイバー『同田貫正国』は刀剣の化身たる刀剣男士にして、聖杯戦争において現界した英霊でもあるのだから。 付喪神の一種とはいえあまり格の高い英霊だとは言えないが、パチュリーとしてはサーヴァントは道具として扱えるほうがありがたい。 そう思ってはいるのだが、向こうにとってはパチュリーは理想の主とは言いがたいらしく。 キーパーによって正式な聖杯戦争の開幕が告げられてなお重い腰を上げない様子に、相当フラストレーションが溜まっているようだった。 「ったく。こうやってカビ臭いとこで茶ァしばいてるばかりじゃ、刃が錆付いちまう」 「あら、図書館は飲食禁止よ」 「そういうこと言ってんじゃねえよ」 「じゃ、辻斬りでもしにいく?」 「あんなぁ……」 「冗談よ」 「あんたが言うと分かんねぇんだよ」 霊体化したままぶつぶつと不平を漏らすセイバーのほうへは目をやることなく、読むのを止めた本を書棚へと戻す。 戻しながら、確かに気晴らしは必要かもしれないとパチュリーは思案した。 いくら切れ味のいい刀でも、いざという時に働いてくれないのは困る。 この聖杯戦争において明確な方針を定めていないパチュリーにとって、「いざという時」がいつになるのかは分からないが。 ともあれ、外の空気くらいは吸わせてあげてもいいかもしれない。 ただでさえこのアーカムに辿り着いて以来、ほとんどの時間を図書館への泊り込みで過ごしてきたのだから。 「そうね……とりあえず、これから一度アップタウンのアパートメントに戻るわ」 「おっ! てぇことは、遂に支度を……!」 「シャワーを浴びて服を着替えたら、またここに戻ってくるわ」 「期待した俺が馬鹿だった」 外の空気くらいは吸わせてあげてもいいかもしれない、と思ったから吸わせてあげようとしたのに、それでも不満とは。 パチュリーはずっと一所に留まることに苦痛を感じない性質だが、そうでないセイバーのために無駄ともいえる行動を取るというのに。 むしろ感謝されてもいいぐらいで、がっかりされるのは理不尽だ。 (まったく、戦バカの考えは分からないわ) パチュリーは天井を仰いで溜息をついた。 ▼ ▼ ▼ せめて家族の元に帰してあげようと、ランサー――セーラーサターンは心に決めた。 僅か十二歳相応のものに過ぎない華奢な両腕で、自分よりもずっと背の高い彼女の体を抱き上げる。 全身から力という力を失ったその体は、まるで砂袋を抱えているかのようにずっしりと重い。 魂を抜き去ったのに体が以前より重たくなるなんて、どこか不思議で、そして哀しい。 死体が重く感じるのは、土の下で眠りたがっているからではないかと、ふと思う。 ランサーが彼女――不運にもランサーのマスターであるプレシアに拘束され、他ならぬランサー自身によって魂食いされた女学生―― その遺体を、 魔術的手段による処分ではなく自分に任せてくれないかと進言した時の、プレシアの怒りは凄まじいものだった。 彼女にとってサーヴァントとは使い魔に過ぎず、手に余る力を持っていることが魔術師として許しがたいのだろう。 そして――恐らくはこちらのほうが主たる理由なのだろうが、ランサーが年端もいかない少女であることが、マスターの神経を逆撫でしているようだった。 マスターの意向を無視しようとしたランサーをプレシアは罵り、鞭打ち、デバイスを変化させた鞭程度では傷ひとつ負わせられないと分かると一層憤った。 しかし傷を負わないとはいっても、神秘を帯びた鞭が「痛くない」というわけではない。体も、そして心も。 だからこそ、涙を浮かべて倒れ伏すランサーを見てプレシアも溜飲を下げることとなったのであるが。 しかしそこまでの扱いを受けながら、ランサーの中に「裏切り」とか「見限り」といった選択肢はなかった。 どんなに歪んでいようとも、マスターが聖杯を求める理由が我が子への愛であるのは間違いないから。 だからこそ尽くそうと決めた。そのために戦おうと決めた。たとえ自身が、永遠にマスターから愛されないとしても。 それでも、マスターの願いに巻き込まれて死ぬ人がいれば悲しいし、偽善かもしれなくてもせめて何かをしてあげたいと思う。 (住所はこの人が持っていた荷物から分かったから、そこへ……こんなことでは、私の罪は消えないけれど) 死体の重みを感じながら、ランサーは俯く。 きっと自分が悪いのだ。マスターを説得できなかったのも、魂食いで直接命を奪ったのも、他ならぬ自分。 愛と正義のセーラー戦士、セーラーサターン。こんなことでは胸を張ってそう名乗ることすら出来やしない。 短い丈のスカートを翻して、科学研究棟の屋上から跳躍する。 悩んでも仕方ない。少なくともこの女学生に関しては好きにしていいという許可を得たのだから、出来ることをしよう。 彼女の遺体を見つけることになるであろう両親の気持ちを想像して胸が痛んだが、その痛みを押し殺してランサーは跳んだ。 ▼ ▼ ▼ 夜間の図書館を管理する老いた守衛はもう慣れたもので、閲覧室を後にしたパチュリーが顔を見せるだけで何も言わずとも察してくれる。 七曜の魔女だの図書館の魔女だの、幻想郷の外でまでその手のあだ名が付いて回るのには辟易するが、引き換えに便宜を図ってくれるのは悪くない。 本来ならば人ひとり通してはいけない時間帯に、こうやって堂々と図書館を出入りできるのだから。 パチュリーが帰宅した後はまた通常通り厳重に施錠して、開館時間までは蟻一匹通さないに違いない。 幻想郷の白黒魔法使いみたいなのが出てくれば話は別だが、そうでないなら何事もなく朝を迎えるだろう。 守衛室で時間外利用の書面にサインして、図書館を後にする。 老守衛が飼っている黒い番犬をちらりと見るが、どうやらぐっすり眠っているようだった。 そういえば、何代か前の番犬は魔道書を狙って忍び込もうとしてた怪異を噛み殺したという噂を聞いたことがある。 パチュリーにとっては、こんなところに本物の魔道書があるということ自体が眉唾物なのだが。 「セイバー、念願の外の空気よ。堪能なさい」 『うるせえくたばれ』 霊体化しているというのに、セイバーのふて腐れた表情が見えるようだ。 こちらとしては十分な譲歩をしているつもりなので、パチュリーはそれ以上ご機嫌を取ろうとすることもなく帰路に着く。 帰路、か。 思えば、「自宅と図書館が別にある」という生活は随分と久しぶりに思える。 紅魔館の大図書館で暮らすようになってからはあらゆる時間が本と共にあったから、自宅という概念すら新鮮だ。 生まれながらの魔法使いであるパチュリーは、肉体構造の根幹から魔力によって成り立っている。 当然、生活の全てが、物質的な基盤の上に成り立つ人間とは異なってくる。 もしも自分が人間として生まれてきていたならば、このような生活こそが当たり前だったんだろうか。 そんなつまらないことを考えていたら、見知らぬ区域に足を踏み入れていた。 アーカムの土地の一区画を贅沢に使うこのキャンパス地区は、初めて訪れた者は迷いかねないほどに広い。 とはいえ別に雑然と校舎や研究棟が並んでいるわけではないのだから、ミスカトニック大学に在籍する学生が迷うなどということはない。 本来はない、はずなのだが。 「ねえ、セイバー。私の家の方角、どっちだったかしら」 『知るかよ。なんで通学路を自分で把握してねえんだ』 「図書館の中か、自宅との最短コース以外は生活圏外だもの」 『なんで自信満々でンなこと言えるんだこいつ』 愚痴ったり腐ったり呆れたり、まったく主への敬意に欠けるサーヴァントだ。 仕方ない、とポケットからGPS機能付きのスマートフォンを取り出す。 魔術を使えば一発なのだろうが後々面倒になるのも嫌だし、文明の利器に慣れるのも悪くない。 が、しかし、まったく勝手の違うこのテクノロジーにパチュリーは未だ馴染めずにいる。 現代社会における最低限の知識を聖杯から与えられていることと、その知識を思いのままに扱えることは、似ているようで全く違う。 むつかしい顔をしながらタッチパネルに恐る恐る触れ、地図アプリを呼びだそうと苦闘する。 「術式で動く式神のようなものなのだから、もう少し融通が利けばいいのに……」 何気なしに口にした独り言。 声に出してから、またそれに対してまたセイバーのぼやきが返ってくるのかと思いパチュリーはうんざりした。 が。 返ってこない。 それどころか、霊体化してそばに従っているその気配が、一変している。 先ほどまでが鞘に収まった状態だとするならば、今のセイバーは、まるで抜き身。 武功を挙げるその時を今か今かと待ち構える、戦場の刃だ。 「……セイバー」 「においだ。魔力のにおいがしやがる。探知は得意じゃねえが、この距離なら俺でも分かる」 「サーヴァントなのね?」 「間違いねえな。魔力量が異常だ……気付いてくれって言わんばかりだな」 とうとうこの時が来たか。 パチュリーは、自分が聖杯戦争のただ中にいることを忘れていたわけではない。 しかし、積極的に状況に関わるのはまだ早すぎると思っていただけだ。 戦うことを恐れているのではなく、戦うだけの必然性が薄いと考えていたまで。 しかし――現実は、否応なしに選択を迫ってくる。 「私としては面倒事は御免だし、やり過ごしたいのだけど。言っても聞かないでしょうね」 「冗談だろ? ようやく巡ってきた合戦の機会だ。それにな――」 パチュリーが何か言う間もなく、戦装束に身を固めたセイバーが実体化した。 「――こうして姿を現したからには、あっちも気付いただろ。さっそく進路をこっちに変えてきたな」 「ばっ…………!」 馬鹿なことを、という言葉が最後まで出てくることはなかった。 それよりも先に、紫菫の風がミスカトニックのキャンパスに舞った。 夜間照明の光を浴びて凛と立つその姿は、なるほど英霊と呼ばれるに相応しい清冽さで。 「……セイバーのクラスのサーヴァントと、そのマスターとお見受けします」 風に乗るその声は、まだ年端も行かない少女のものだ。 声だけではない。その菫色の瞳も、切り揃えられた黒髪も、華奢な体も、少女そのもの。 だがその佇まいが、そして何より携えるその銀の鎌矛(グレイブ)が、彼女が人智を超えた存在であると示している。 パチュリーはその場で離脱する線を捨てた。 あの決意を秘めた瞳……すんなりと帰してくれるとは思えない。 「聖杯戦争の理により、名乗りは挙げられませんが……槍の英霊ランサー、主の命により、ここで一戦交えさせていただきます……!」 矛先の白刃が、電灯の明かりで煌めいた。 身構えるパチュリーの隣で、セイバー――同田貫正国が、にいっと笑った。 ▼ ▼ ▼ いずれ戦うことにはなるだろうと思っていたけれど、こんな形でとは。 ランサー、セーラーサターンは凛とした姿を装いながら、内心では当惑していた。 女学生の遺体を彼女の自宅へ運ぶため極力スピードを落として移動する途中、サーヴァントの気配を感じた。 サターンはEXランクの規格外の魔力を保有するが、隠密系のスキルや宝具は一切所持していない。 だからこそ「向こうから捕捉されたかもしれない」という状況は起こりうる可能性として想定していた。 離脱するか否か。一瞬の逡巡の後、マスターであるプレシア・テスタロッサに念話で報告する。 万全の準備をしているならばともかく、遭遇戦はリスクも大きい。 理知的なプレシアならば強行手段は取らないだろう……そう考えていたのだが。 『……そう。ようやく、餌に食いついたというわけね』 「えっ……?」 『貴女が恥ずかしげもなく垂れ流した魔力に、ようやく反応するサーヴァントが現れた。 いいことランサー、マスターもろとも消しなさい。場合によっては、宝具の開帳も許可するわ』 「あ、あの、ちょっと待ってください。餌……? もしかして、私にずっと偵察を命じていたのも、今夜外出を認めたのも――」 『血の巡りの悪い子ねぇ。貴女は浮き餌なの。掛かった魚くらい自分で始末なさい』 その一言で念話はぷっつりと切れた。 ランサーは目を伏せ、唇を噛み締めたが、数呼吸の後に顔を上げ、女学生の遺体を木陰に隠すと気配の方角へ飛んだ。 そして、今。 槍の英霊セーラーサターンは、敵サーヴァント――セイバーと対峙している。 油断なく相手を観察する。 武器は日本刀。全身に身に付けているのは黒を基調とした甲冑具足。 ほぼ間違いなく、戦国時代から江戸時代をルーツとする日本の英霊だろう。 全身から立ち上る殺気もその推測を裏付けする。 戦場の血を求めるあのぎらつく眼差しは、戦うために生まれた戦士の証。 「――ガキを斬る趣味はねェが、武士(もののふ)ならば話は別だ」 セイバーがゆっくりと口を開く。 その表情を見て、ランサーは眉をひそめた。 笑み。獰猛な笑み。死合を求める渇きと歓喜。 その身を使命に捧げたセーラーサターンにとって、戦士の宿命は戦いの歓びとは無縁のもの。 眼前の英霊が自分とはまったく別の価値観を持つことを、直感で理解する。 理解して、ランサーはグレイブの柄を固く握った。 「こっちも名乗れねぇのが残念だ。もっとも、名乗るほどの英霊でもないがな」 セイバーが、じり、と片足を踏み出す。 その無骨な刀の柄から、刀身の先まで戦意の脈動を漲らせる。 相対する二者。 その只中で、空気は凍結したかのようにその動きを止め――。 「だがなこの首、安くはねぇぞ――それでも欲しけりゃ、死ぬ気で来なァ!!!」 瞬間、ふたつの刃が奔った。 「キエェェェアッ!」 「はぁぁぁぁーっ!」 激突。 神速で振り抜かれた刀の剣筋を、守りの軌道を描いたグレイブが弾き逸らす。 続いて剣閃。 鳴動。 火花散らす刃と刃。 目の当たりにするセイバーのマスター――パチュリー・ノーレッジ――には、既に一太刀一太刀は追えていまい。 伝説でしかあり得ない、人の領域を踏み越えた剣戟。 しかし、それこそが英霊であった。 人類史の記憶から召喚された存在、サーヴァントたるものであった。 そは、永久(とこしえ)に横たわる死者にはあらず。 今ここに顕現している彼らこそが、人智を越えた本来触れ得ざる神秘である。 セイバー、同田貫正国の剛の剣が大気をも二層に断ち割らんとする勢いで吼える。 ランサー、セーラーサターンのグレイブは流麗に流れる風のように舞い、太刀筋を躱して敵に迫る。 「悪くねぇなガキんちょ! だがそいつじゃ俺は殺せねぇッ!」 「それでも、倒します……マスターの願いのため、負けられません!」 唸る神秘と神秘。 刃の姿をとった伝説が、互いを裂かんと交錯する。 その衝突は、一見にして互角。 しかしそう感じていたのはパチュリーただ一人だっただろう。 わずか十秒足らずの間に数え切れないほどの刃を交えたのち、ランサーが飛び退き距離を取った。 グレイブを構え直すその表情は僅かに翳り、対するセイバーは未だ戦意に満ち溢れている。 ――優勢なのは、同田貫正国であった。 同田貫は刀剣男士、それも戦うためだけに鍛え抜かれた実戦刀の付喪神である。 荒々しく無骨極まりない太刀筋は美麗と呼ぶには程遠いが、しかし相手を切り捨てるための剛毅の剣。 勇猛スキルと擬似的な心眼スキルによって高められた剣技は、確かに相手の生命を狙う。 対するセーラーサターンは、本来槍の武勇をもって知られた英霊ではない。 最優と名高いセイバーのクラス相手に打ち合うことは出来る。しかし、もう一歩が届かない。 白兵戦闘向きのスキルも持ってはいない。即座に敗北することこそ無くとも、時間を掛ければ追い込まれるのは必至。 ただただ剣戟を重ねる限りは、ランサーに勝ち目はない――。 「……あなたは、何のために戦っているのですか、セイバー」 「あ?」 「マスターのためですか? それとも、貴方自身の願いのためですか……?」 距離を一定に保ちながら、セーラーサターンは同田貫正国に問う。 これは体勢を立て直すための時間稼ぎでもあったが、同時にランサーの本心から出た問いでもあった。 セイバーは意表を突かれた顔をしたが、すぐに元の獰猛な眼差しへと戻る。 「――どっちでもねえよ」 「どちらでも、ない?」 「ああ。俺は戦うために生まれた。だから戦う。斬るために生まれた。だから斬る。 それだけだ。この上なく単純だ。俺に言わせりゃ、誰のためだの何のためだの……。 戦場にその手の感傷を持ち込むなんざ無粋極まりねぇ。斬るか斬られるか、それだけだろうが」 彼の答えは、彼の太刀筋と同じぐらいに無骨にして明快であった。 しかしそれは同時に、セーラーサターン――土萠ほたるという少女にとって共感し得ない答えだった。 「……分かりました。答えを聞けばもしかしたらと思いましたが、やっぱり私、あなたには歩み寄れない」 「だったらどうする?」 「滅ぼします。我が全力を懸けて」 宣言。 明確な拒絶であるその言葉を聞き、しかしセイバーの顔に浮かんだのは歓びだった。 「いい面構えじゃねえか。かかってきな――正面から叩き斬ってやる!」 「……言われるまでもありません!」 ――セーラーサターンは、武勇で知られた英霊ではない。 武勇をもって決着を求める限り、実戦刀の英霊である同田貫正国に勝ち目はない。 ならば、本来の使命――"破滅の使者"に相応しい戦い方をするまで。 「――――真名、開放」 魔力が、銀の戦鎌に集中する。 稲妻のような炸裂を繰り返しながら、その宝具が真の力を取り戻す。 「《沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)》――――――!!」 英霊が名を呼ぶ、その時、伝説は蘇る。 ▼ ▼ ▼ ――その瞬間、パチュリー・ノーレッジは奈落へと足を踏み外すような感覚を味わった。 真名開放。 サーヴァントの宝具の名を詠唱し、伝説における力を再現するという神秘。 名前には古来より力が宿る。真なる名で呼ばれたものは真なる伝承を取り戻す。 パチュリーも当然知識として持っている。聖杯戦争における位置付けも理解している。 曲がりなりにも百年を魔道に捧げた魔女だ。今更そんな神秘ごときで動揺などするはずがない。 するはずが、ないのに。 (……なに、これは……なんなの……震えている? 私が?) ランサーの宝具、『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』と呼ばれたあの宝具。 先ほどまでとは見違えるほどの魔力量を漲らせるその武器に、視線が吸い寄せられる。 あれは、滅びだ。滅びの具現だ。 破滅という、命あるものならば誰もが畏れる概念。その実体だ。 (そんな……私が、この私が……怯えている? 恐怖しているの?) それはほとんど直感だった。あるいは本能と呼んでいいものかもしれなかった。 人間が動物的な能力として持っているもの――種族:魔法使いであるパチュリーには、今の今まで無縁だったもの。 (はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……) 自身の荒い息に苛立つ。 しかしそれすら自力では制御できないことに気付き、そのことに底知れぬ恐怖を覚えた。 認めざるを得ない。パチュリー・ノーレッジは、神秘を前にして怯えている。 無明の闇の中へ無限に落ち続けているような感覚。 思考が狭窄していくのが分かる。しかし自分でもどうにもできない。 (殺さないと……あいつを殺して、この恐怖の根元を絶たないと……!) 聖杯戦争に乗り気でなかった自分からこのような考えが出てくる、そのことへの疑問すら今はなかった。 ただこの異常な状況を切り抜ける、それだけが今のパチュリーの行動原理のほとんどを占めていた。 もはや出し惜しみしている場合ではない。声を張り上げて、セイバーへ命令を飛ばす。 (――宝具の使用を許可する! 一刻も早くそいつを斬り捨てなさい、セイバー!) ……命令を飛ばした、つもりでいた。 セイバーが全く反応を示していないことに疑問を抱き、その直後、パチュリーはその理由に思い当たった。 がちがちがちがちがちがちがちがち。 パチュリーの口から漏れていた音は、それだけだった。 恐怖で歯の根が合わず、打ち合わされるだけの音。言葉ではなく、ただそれだけ。 (そんな……! そんな屈辱! 魔女と呼ばれた私が、魔力に怯えて声も出せないなんて……!) 足元がぐらつく。 世界が揺らぐ。視界だけでなく、パチュリーの魔術師としての矜持もまた。 それでも視線だけは、滅びの魔力を迸らせるランサーの宝具へと吸いついていて。 その視線の先のランサーの瞳が、何故か驚愕に見開かれていて。 直後、ランサーの表情に何かを察して振り返ったセイバーが、必死の表情でパチュリーに叫んだ。 何故かパチュリーには聞こえなかったが、しかし何かを警告していることは理解した。 セイバーの視線を追うように目を上げ――そして。 その警告の意味を、理解した。 空が裂けていた。 その隙間から、膨大な魔力が落雷となって、パチュリーの体を打とうとしていた。 防御呪文の詠唱が間に合わない。 それどころか、今の状態では声を出すことすら危ういだろう。 為す術が、なかった。 ただ己の無力に呆然としたまま、パチュリーは迫り来る紫電を見上げていた。 ▼ ▼ ▼ 「……マスター」 『何かしら?』 そこはすでに戦場ではなかった。 ただ一人残ったセーラーサターンは、念話で己の主へと連絡を取っていた。 「マスターが空間跳躍魔術で、相手のマスターに直接攻撃したことです」 『あなたが足止めしてくれていたおかげで、相手の座標に合わせて攻撃できた。功績といえば功績ね。褒めて欲しいのかしら?』 「い、いえ……違います。あの……あれは、私ひとりではセイバーを倒すには力が及ばないと……そう考えてのことのですか?」 『はぁ……理解が足りないようね、ランサー。私は戦士でもなければアスリートでもなくて、魔術師なの。 貴女にセイバーを倒す力があろうがなかろうが、より確実に勝てる方法を選んだだけ。つまらないことを訊かないで』 ランサーは項垂れた。 どちらにせよ、プレシアがランサーを信頼していないことは間違いないようだった。 少なくともプレシアからは魔術師としての客観的な視点で、英霊として高水準であると評価はされている。 しかしそれだけだ。そこに、信頼は伴わない。 どれだけの力があろうと、ランサーに任せるよりも自分で手を下すほうが「確実」。 そう思われている限り、ランサーの献身は報われることはない。 『ところで、ランサー。あの死体、まだ手放したりはしていないわよね?』 「は、はい……あの、それがなにか……?」 思いがけない言葉に、はっと顔を上げて答えるランサー。 それに対する返答は、彼女を困惑させるには十分だった。 『使い道を思いついたわ。捨てに行くのは止めにしなさい』 「えっ……?」 『あれを使って燻り出すのよ。貴女が愚鈍にも取り逃がした、セイバーとそのマスターをね』 ……取り逃がした、セイバーとそのマスター。 あの時。 プレシア・テスタロッサの空間跳躍を利用した落雷魔術は、確かに敵マスターを打ったはずだった。 しかし、一瞬だけ遅かった。いや、セイバーの動きが一瞬だけ速かったと言うべきかもしれない。 結果としてセイバーは茫然自失のマスターと落雷との間に割って入り、その身を縦にして主を守った。 それからの引き際は、鮮やかの一言だった。 あれほどまでに戦いに執着していたというのに、ランサーを振り返ることすらせずにこの場を離脱していった。 主のために戦うのではないと言いながらも、躊躇わず主のために行動できる英霊。 彼に対する認識を変えなければならないのかもしれないが――。 『仕留め損ねた理由は分かっているわね、ランサー』 「は、はい……私がマスターの奇襲に動揺してしまって……それをセイバーに感づかれたからです」 『その通りよ。主の足を引っ張ることに関しては天下一品ね、ランサー。大した英霊だわ』 「……………………」 皮肉に対して言い返そうという気持ちも湧かなかった。 どんなに卑怯に見えようと、真名開放で発揮された神秘に動揺したマスターを奇襲で討つのは上策だ。 みすみす勝機を潰してしまった……ランサーにとってそれが事実なのは間違いなかった。 『戻ってきたら、鞭打ちよ。使えない犬に、正しい主との関係について教育してあげる』 「…………はい」 『それが終わったら……吊るしにいきましょう。貴女が持ち帰るはずのものを』 「――吊るす?」 聞き間違えかと思ったが、プレシアの続く言葉はその期待を冷徹に塗り潰した。 『こんな時間に大学施設の出入りを許されている学生は多くない。在籍者ならば、すぐに目処は立つわ。 もっとも既に私の中で候補はいるのだけど。例えば神秘学科の新星、"七曜の魔女"とかね』 「魔女……」 『そう、魔女。だから吊るすの。アーカムに暮らす人間なら、言い伝えくらいは聞いたことがあるでしょう。 このアーカムに、新しい"首括りの丘"を作るのよ。これから始まることのためにね』 主の表情は伺えなかったが、きっと厭な微笑みを浮かべているのだろうと、ランサーは思った。 ▼ ▼ ▼ 「ここは……」 「あんたの自宅だ。ったく、なんで俺のほうが道に詳しいんだか」 パチュリーは、自室のベッドでゆっくりと体を起こした。 まだ頭がぼんやりとしている。セイバーが自分を抱えて、ここまで連れて来てくれたのだろうか。 思考が巡らない状態でパチュリーは実体化して傍に控えるセイバーを見、その甲冑が焼け焦げていることに気付いた。 「あなた、それ……!」 「ああ、これか。結構いいのをもらっちまってな。対魔力もDランクじゃマスターにすら抜かれちまうか、情けねえ」 「……大丈夫なの?」 「サーヴァントの肉体を構成するのは魔力だ。あんたから十分な供給が来てる以上、あとはツバつけときゃ治る」 今まで通りの皮肉混じりの返しをする気も、今は起こらなかった。 だんだん思い出してきた。初めての敵サーヴァントとの邂逅、そして――自分の、致命的な失態。 「――――なんて、屈辱」 掛け布団を握りしめ、無表情を取り繕いながら項垂れる。 百年を生きた魔女が、このパチュリー・ノーレッジが、まるで人間みたいに神秘を前にして怯え、震えた。 その結果として敵の不意打ちを許し、あわや死ぬ間際まで追い詰められ、そして自分のサーヴァントに傷を負わせた。 セイバーへのダメージが大きい小さいの話ではない。これは魔術師としての矜持の問題だった。 「この聖杯戦争は、まともじゃない。知っていたはずなのに……分かっていたはずなのに」 冷静な傍観者を標榜していたつもりが、このザマか。 なんて情けない。それでも紅魔館の魔法図書館の主か。百年の時を経て、辿り着いたのがこんな姿か……。 「なあ、おい」 「……何? 私は今、それどころじゃ……」 無神経なセイバーの呼びかけに思考を中断され、パチュリーは苛立った声を上げる。 それを無視してセイバーはパチュリーの顔へと無造作に手を伸ばし――その額を、思いっきり指先で小突いた。 「むきゅっ!?」 「バッッッッッッッッッカか、テメェは」 目を白黒させるパチュリーに、面と向かって身も蓋もない言葉を浴びせるセイバー。 「いいか、俺は刀だ。戦うことしか出来ねえ。だがあんたがいなきゃ戦えねえ。だから助けた」 その刀を握ることしか知らない指で、パチュリーを指差す。 「俺は考えねえ。迷わねえ。そういうのはあんたの仕事だ。だから好きに考えたり迷ったりすりゃあいい。 だがな、戦場で命を拾ったってことは、次があるってことだ。どれだけ悔しがろうが、いずれ次の戦は来る」 「…………次の、戦」 「そうだ。だから、次は勝て。狂気には、あんたの心で抵抗するんだ。そうすりゃ俺は、あんたの代わりに敵を斬れる」 抵抗。 久しく、自分に関わるものとして聞くことのなかった言葉。 だが、セイバーの言葉は単純で、それゆえに真実だった。立ち向かわなければ、飲み込まれるだけ。 「そうね……その通りだわ」 まったくこんな戦バカに説教されるとはね、と自嘲する。 そうだ、失った矜持は取り返せばいい。真の敗北はまだ訪れてはいない――まだ生きている。 奇妙なことだが、この生命の実感もまた、随分と長い間忘れていた感覚だった。 「……セイバー。休息を取ったら、また大学に行くわ」 「また本の虫か?」 「そうね……結果的にそうなるかもしれない。それでもこれまでとは目的が違う。 魔女の名に懸けて、やられっぱなしでは終わらない。ランサーのマスターは私達が見つけ出す」 想定外の言葉を聞いたとばかりに目を見開くセイバーを見て、パチュリーはかすかな微笑みを浮かべた。 「まずはランサー。あるいはその次。そうやって聖杯戦争の核心に近付いていけば……いずれからくりが見えてくる」 「つまりは、謎解きか?」 「噛み砕けば、そういうことね」 「なるほどな。あんたは考える。俺は斬る。悪くねえ」 さっきの戦は満足行くまで戦えなかったからな――そう言って、セイバーはニヤリと笑った。 奇妙な感覚だと、パチュリーは思わざるを得なかった。 この野蛮で獰猛な英霊が気が合う相手だとはとても言えないのに、それでもこの感覚は――。 「――ええ、悪くない。だからこそ必ず見つけるわ、納得の行くだけの答えをね」 知識と日陰の少女にとっての聖杯戦争は、この時になってはじめて幕を上げた。 【アップタウン・アパートメント(パチュリー自宅内)/一日目 未明】 【パチュリー・ノーレッジ@東方Project】 [状態]健康 [精神]瞬間的ショック(怯え、ほぼ回復) [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]大学生としては余裕あり [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に関わり、神秘を探る。 1.夜が明けたら大学へ。 2.ランサーのマスター、あるいは他の参加者を探り出す。 [備考] ※ランサー(セーラーサターン)の宝具『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』の名を知りました。 【セイバー(同田貫正国)@刀剣乱舞】 [状態]背部にダメージ(軽) [精神]正常 [装備]日本刀 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:敵を斬る。ただそれだけ。 1.敵を見つけたら斬る。 2.面倒な考え事は全てマスターに任せる。 3.負傷は早めに治して次の戦に備える。 [備考] ▼ ▼ ▼ ――アーカムの歴史は、アメリカ史最後にして最悪の魔女狩りと共に始まった。 今を生きるアーカム市民にとっては、ただの古臭い御伽話か、馬鹿馬鹿しいタブーの類に思えるだろう。 しかしその歴史は、天井に滲んだ染みのように、ふとしたきっかけで見上げるたびに思い出されるものだ。 セイラムからここアーカムに逃れた最後の魔女は、魔女裁判の熱が収まったのち、怒れる民衆によって縛り首にされたという。 あたかもその史実の再現であるかのように――ミスカトニック大学のキャンパスの一角で、少女が木からぶら下がっている。 昨日までは極普通の日常を送っていたはずの彼女は、今は物言わぬ骸となって、枝と首とを結ぶ縄に体重を預けていた。 朝になれば、学生や教員たちがその姿を見つけるだろう。そして彼女は地上へと降ろされるだろう。 だがミスカトニック大学は、怪異に慣れすぎている。少女の首吊り程度では、その機能を止めたりはするまい。 しかし。 少女の骸には――魔力の残滓が、魔道に関わるものならば見過ごすはずのない痕跡が宿っていた。 これは挑発だった。あるいは警告であり、そして宣戦だった。 これよりアーカムで魔女狩りが始まる。 次に吊るされるべきは誰だ。次に死すべきは誰だ。 "セイラム"を忘れるな、魔術師ども……と、そう告げている。 ――風が吹いた。ぎしり、と音を立てて、少女の躯が揺れた。 【キャンパス・大学研究棟(テスタロッサ研究室・工房内)/一日目 未明】 【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1ST】 [状態]健康 [精神]精神汚染:E [令呪]残り三画 [装備]ミッドチルダ式ストレージデバイス [道具]大学教授としての衣服および所持品 [所持金]豊富 [思考・状況] 基本行動方針:ミスカトニック大学に潜むマスターを燻り出し、殺す。 1.深夜の施設利用を許されているパチュリー・ノーレッジをマスター候補として警戒。 2.それ以外にも「罠」に反応する大学関係者がいないか観察する。 3.セーラーサターンに対して強い不信感。 [備考] 【ランサー(セーラーサターン)@美少女戦士セーラームーンS】 [状態]健康 [精神]正常、消沈 [装備]『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターへの献身。 1.プレシアの願いを叶えるために尽力する。 2.マスターの信頼を得たい。 [備考] ※キャンパス内の目立つ場所に、女学生の遺体が首吊りを模して木に吊るされています。 魔術師あるいはサーヴァントであれば、魔力の痕跡から聖杯戦争の関係者の仕業であると分かると思われます。 BACK NEXT 001 蒼い空 投下順 003 選択 OP 運命の呼び声~Call of Fate~ 時系列順 010 妖怪の賢者と戦姫 BACK 登場キャラ NEXT OP 運命の呼び声~Call of Fate~ パチュリー・ノーレッジ&セイバー(同田貫正国) 016 BRAND NEW FIELD プレシア・テスタロッサ&ランサー(セーラーサターン) 018 昏濁の坩堝へと
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ルミレシア(水) ランク ★1 ★2 ★3 ★4 ★5 ★6 スキル1 アイスカッター 最大Lv 35 スキル2 吹きつける西風 体力 9450 スキル3 吹き起こる南風(パッシブ) 攻撃力 323 Lスキル あり 防御力 500 タイプ 【タイプ】 編集 攻撃速度 103 覚醒後 シルフィード(水)